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はじめに

強皮症は皮膚および内臓諸臓器の線維化と末梢循環障害を主徴とする、依然原因不明の結合織疾患である。1942年米国の病理学者であるKlempererは強皮症を含む6つの疾患を膠原線維や結合組織、血管周囲にフィブリノイド変性を呈する疾患群として膠原病の古典的概念を提唱した。これまでにこれら疾患の病変部位はマスト細胞の主要な存在部位に一致することが知られるようになった。マスト細胞はこれまでアレルギーなどの自然免疫の主役と考えられてきたが、近年自然免疫から獲得免疫の移行に重要である事や、関節リウマチの病態にも関与し治療標的としての可能性が期待されている1-3)。加えて、マスト細胞は皮膚線維芽細胞の増殖を刺激し、コラーゲン産生を促すことや、強皮症のモデルマウスであるTight-skin (Tsk)マウスにおいて、真皮に脱顆粒したマスト細胞を認めるなど皮膚線維化への関与が報告されており、強皮症病態への関与が考えられるようになっている4-6)。